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第6話 死ぬ権利


 「人間に死ぬ権利ってあると思いますか?」僕は金井さんに聞いた。「寿命は自分で決めるものでは無いです」金井さんは答えた。「僕は、死ぬ権利ってあると思います」と話を無理やり切り出した。

 「來未ちゃんが死んだ」友達の菊池君から僕は電話を受けた。
 來未ちゃんとは、僕の妹の友達だった。服薬自殺だったらしい。

 來未ちゃんは、小さな頃から、母親に「お前さえ居なければ」「お前さえ居なければ」と言われ続けて育った女の子だ。來未ちゃんの両親も“出来ちゃった結婚”だったらしい。母親は父親と離婚したかった。でも來未ちゃんが居たから離婚できなかった。だから「お前さえ居なければ」「お前さえ居なければ」とつぶやきながら來未ちゃんを育てた。
 來未ちゃんが両親の殺害計画を立てたのは小学生の頃だった。父親が薬剤師で、家が薬局だった。そこに大量の体温計があったので、來未ちゃんはそれを割って“水銀”を貯めて両親のご飯に紛れ込ませて殺害する計画を立てた。でも、ご飯に水銀を混ぜるタイミングが計れなくて計画は頓挫したらしい。

 小さな頃から、母親に「お前さえ居なければ」「お前さえ居なければ」と言われ続けて育った女の子の人生がどんなものか想像もできない。「お前さえ居なければ」と言う言葉を「自分さえ居なければ」に置き換えていたのだろう。

 「お前さえ居なければ」「お前さえ居なければ」「自分さえ居なければ」「自分さえ居なければ」

 來未ちゃんは薬科大学の3年生だった。学校で教わった知識で、自分を殺す方法がわかったのだと思う。
 自分を殺す方法さえわかれば、後はあっけないものである。だって「お前さえ居なければ」を実現するだけなのだから。

 親に嫌われて育った子供の心にはブレーキが無い。だって一番愛してほしい人に嫌われているのだ。自分の存在価値を見出せないのは精神論とか“頑張れ!”とかそう言うものでは無い。ただ単にブレーキが無いだけなのだ。



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