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第10話 妹の理想の再婚相手


 離婚してすぐに、妹には彼氏が出来た。それが突飛な奴だった。
 妹の“私が死んでもいいのか”パフォーマンスにひるまない奴だった。ひるまないどころか「だったら俺が死ぬ」と言って、妹が手に持っていた包丁を奪い取り、自分の首をザックリ切った。血がシュー!と飛び出し、パフォーマンスをしていた妹の方が慌てて救急車を呼ぶと言うとんでもない有様だった。
 でも、その時「こいつにだったら妹を預けられる」と僕は確信した。
 どんなに愛されていると豪語する人でも、“自分の為に死んでくれる”人に出会うことなどそんなには無いと思う。僕は彼氏のことを妹の理想の再婚相手と思う様になっていた。

 そんな二人が結婚した。結婚したと言っても式も挙げず籍を入れただけである。なぜなら彼は失業していたからだ。
 彼が首を切った後も、実は妹の“私が死んでもいいのか”パフォーマンスは止まらなかった。日中に彼氏の会社に電話を入れ、「これから死にます」と言うらしいのだ。その度に彼氏はタクシーで家に飛んで帰って来る。そんなことを何度も何度も繰り返すのだから、どこに就職してもすぐに首になる。そんな二人の為に僕はアパートを借りてやり、生活費の援助もしていた。今思えば、これがダメだった。

 二人が結婚して、すぐに女の子が生まれた。
 旦那は働いていなかったので、なにげに、妹の“私が死んでもいいのか”パフォーマンスは止まっていた。心に余裕があると“私が死んでもいいのか”パフォーマンスは出ないらしい。幸せな家庭だった。僕もたまに夕食に招待された。子供を中心に展開される笑顔がそこにあった。



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